文献にもより異なりますが、平均10歳から12歳に多いと言われています。
腫瘍は一つの乳腺のみに発生する腫瘍と複数の乳腺に同時にできてしまう場合もあります。
90%以上は悪性(がん)です。
原因は女性ホルモンが関係していると考えられています。
症状は乳房や周囲の皮下にコリコリとした丸いしこりができます。じゅず状や直線状になるもの、
変色や浮腫を起こすものもあります。また悪性の場合肺へ転移が見られることがあります。
当院でも多くの猫ちゃんがこの病気の治療を行っていますが、一般的に外科手術で腫瘍を切除します。
転移や再発も多いため、抗がん剤等を行うこともありますが、小さいうちに早期発見・早期治療
することが最も重要です。
また、若いうちに(発情が来る前に)避妊手術することで、発症する確率を下げることができます。
男の子もとても稀ですが、乳腺腫瘍になることがあります。
健康診断時やワクチン接種時に見つかることもありますので、定期的にチェックしていきましょう。
定期的に猫ちゃんの乳腺を触り、しこりがあったらすぐに相談して下さいね。
<当院の症例報告>
13歳女の子 アメリカンショートヘア Kちゃん
飼い主様がお腹に2cmくらいのしこりがあることに気づきご来院。
Kちゃんは気にしていないとの事でした。
診察し、しこりの細胞を少しとり顕微鏡で確認したところ、乳腺腫瘍を疑いました。
猫ちゃんの場合は悪性の可能性が高い事、良性であっても大きくなってしまって今後出血や化膿する可能性
がある事。などをお伝えしましたが高齢ということもありすぐに手術と判断はできませんでした。
Kちゃんの腎臓や肝臓など主要な臓器は機能しているか?貧血などはないか?
そして今の時点での肺などへの転移はないか?
など全身的な検査させていただき、転移もなく主要な臓器も検査上大きな問題はありませんでした。
ご家族で相談の結果、Kちゃんは手術をすることとなりました。
しかし高齢ではあるので、術前から点滴をしっかり行い手術に臨みました。
無事に手術を乗り越えてくれました。術後は痛みの管理を行い点滴をしながら、3日間入院をしました。
傷口はあるのでそこに気をつけながら、退院しお家で様子を見ていくことになりました。
抜糸が終わった頃、病理検査の結果が出ました。
結果は残念ながら悪性でした。
悪性度の強いタイプでしたので、補助療法として抗がん剤治療を始めることとなりました。
幸いその後は再発転移なく1年過ごしています。今も定期的に検診を行なっています。
当院の症例報告でした。